劇場用映画
「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道」(2020)
岩間の劇場用映画監督第一作。
1996年に制作したTVドキュメンタリーを20年ぶりに上映するイベントの場で、岩間は観客の一人からこう問われる。
「この20年で写真は激変した。デジタルからアナログへ、機材もプリントもすっかり変わったのに、森山さんは変わらず撮り続けている。こんな面白い状況の中でなぜ現在の森山大道を撮らないのか?」。この問いかけから本映画制作が始まった。
2018年から丸1年間、岩間は森山のスナップワークに完全同行し、その活動を記録し続けた。
森山と岩間の1体1、二人だけの映画撮影。森山は型落ちした小さなコンパクトカメラを武器にたった一人で街を疾走する。
照明も三脚も持たず、電光石火のようにストリートをスナップして回る森山の姿を、岩間のムービーカメラがひたすら追い続ける。時に盟友・中平卓馬のことを追想し、「中平はゴダール派、僕はフェリーニだな」と戯けて語る森山は少年のようだ。
岩間は、森山が新宿・池袋・中野・蒲田・三軒茶屋・横浜・横須賀・羽田・逗子・表参道などを撮り回るスナップワークと、一冊の写真集「にっぽん劇場写真帖」が復刻印刷されるまでの物理的工程をカットバックさせて描いた。
映画評論家の故・山根貞男は「キネマ旬報」で本作をこう評した。
「森山大道はひたすら日々の営みとして歩き回り撮りまくる。その反復が写真を生み出すという一事を、この映画は浮き彫りにする。(中略)その核心にあるものを、ひたすら現在だけの生、とでもいえようか。思えば、そのあり方は映画というものの本質と符合しているではないか。元気な映画はちゃんと存在する」(2021年6月号)。
本作は2019年パリフォトでワールドプレミア上映を果たすも、その翌年コロナ禍で公開が1年延期された。
2021年新宿武蔵野館でロードショーが始まると、緊急事態宣言のさなか連日観客が来場、上映期間が何度となく延長された。また世界各国の映画祭に次々と正式招待・ノミネートされ、大きな話題を呼んだ。小型カメラ発祥の国ドイツでは、ベルリン、ミュンヘン、ライプツィヒなど全土20館規模で公開されるなど、本作は国際的評価を得た。
森山は撮影後、岩間との対談でこう述懐する。
「いい時に撮ってもらった。写真っていいな。僕に、写真というものがあって本当に良かった。」
出演 - 森山大道
- 編集者
- 神林 豊
- 造本家
- 町口 覚
語り - 菅田将暉(日本版のみ)
- 写真集
- 「にっぽん劇場写真帖」「狩人」
「写真よさようなら」「光と影」
「Daido hysteric」「東京ブギウギ」
「犬と網タイツ」「K」
「続にっぽん劇場写真帖」「仲治への旅」
「サン・ルゥへの手紙」「VISIONS OF JAPAN」
「新宿」「ブエノスアイレス」
「宅野」「大阪+」
「ハワイ」「実験室からの眺め」 - 音楽
- 三宅一徳
- 企画・プロデューサー
- 杉田浩光
製作 - 宮崎伸夫 岡本東郎 加藤義人 設楽 洋 岩端正満
- プロデューサー
- 杉本友昭 飯田雅裕 行実 良
- アソシエイトプロデューサー 森山想平
- 撮影(北海道・逗子)
- 伊藤加菜子
- 整音
- 小林 喬
- ポストプロコーディネーター 志田直之 柳澤和子
- ラボコーディネーター
- 橋本智大
- カラリスト
- 佐藤 智
- オンラインエディタ
- 檜山めぐみ
- アシスタントエディター
- 福寄泰陽 橋本悠平
- DCPマスタリング
- 馬場 亮 小関秀治
音響効果 - 板橋聖志 四元祐二
- エンドロール
- 竹内秀樹
- ダビングエンジニア
- 伊藤雄一郎
- 協力
- 東映デジタルセンター 東映ラボ・テック
- 音楽プロデューサー
- 友野久夫
- レコーディング&ミキシングエンジニア 青柳延幸(EX.W)
- スタジオ
- サウンドシティ EX.W
- アシスタントエンジニア
- 齋藤春樹
音楽制作 - 関谷典子(Face Music)
- ヴァイオリン
- 桑野 聖
- ヴィオラ
- クラッシャー木村
- チェロ
- 四家卯大
- パーカッション
- 梯 郁夫
- ドラム
- 鶴谷智生
- ベース
- 川崎哲平
- ギター
- 遠山哲朗
- クラシックギター
- 遠大坪純平
- タイトル・宣伝美術
- 町口 覚
- アシスタントデザイナー
- 浅田 農(MATCH&Co.)
海外配給 - 33 BROCKS
配給協力 - 台湾・馬場克樹 西本有里
- フランス
- 木村ひろみ(GALLIX)
- 外配給・映画祭
- 海Free Stone Productions
- オフィシャルライター
- 大城譲司 那須千里
企画協力 - 森山大道写真財団 月曜社 MATCH and Company Co.,Ltd. Bookshop M Co.,Ltd. 日本テレビ
撮影協力 - 王子製紙株式会社 王子木材緑化株式会社 鈴木 貴 小笠原哲彦猪俣哲哉 菅原正明 黒田俊英 松田悌幸 安達寿之 宮永ユリ 乙部聡子 梅林由匡 佐内正史 高栁 登 佐々木政美 石川泰彦 ホウキヤスノリ(SUPER LABO)原 耕一(トラウト)仲本 剛 スイッチ・パブリッシング NADiff a/p/a/r/t. POETIC SCAPE NEW YORK ART BOOK FAIR PARIS PHOTO 東京印書館 ブロケード 誠晃印刷 山大 新広社 博勝堂 大伸社 オダニ紙工 田村製本所 菊池造材 東京工芸大学 こどじ 渋谷典子 榊 智朗 講談社ビーシー「おとなの週末」編集部
取材協力 - 瀬戸正人 カメラ映像機器工業会 SONY 日本カメラ CASE 百々俊二 富士フィルム 林 道子 KYOTO GRAFIE 榎並悦子 黒宮雲巌
- 協力
- 青弓社 島根県立美術館 サーヤ
- 資料協力
- 木村一也
参考資料 - ジャック・ケルアック『路上』 訳:福田実(河出書房新社)
写真提供 - 「ル・グラの窓からの眺め」(ユニフォト・プレス)
Special Thanks - 千葉昭人 福田亮平 大野留美 九慈明日香
助成 - 文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい」フィルムパートナーズ - 朝日新聞社 酒井重太 児林もとみ 松浦 敬 神保友香
バップ 末吉太平 関 和紀
テレビマンユニオン 菅原康洋 富田朋子
ビームス 金田英治 土井地博 永井秀二 戸田 慎
ロックスターホテル 稲治 昇 芳岡豊和 - 配給
- テレビマンユニオン
- 配給・宣伝協力
- プレイタイム(斉藤 陽)
- 監督・撮影・編集
- 岩間玄
- 正式招待上映・選出
パリフォト フィルムセクション ワールドプレニア上映
第4回 西湖国際ドキュメンタリー映画祭
スミソニアン博物館 フリーア&ザックラー美術館 ニュー・フロム。ジャパン
第28回 英国レインダンス映画祭 ARTY部門
第22回 全州国際映画祭 ワールドシネマ部門
第11回 国際アートブック&フィルムフェスティバル コンペ部門
ブラジル・サンパウロ IMSパウリスタ
香港M+ミュージアム メイカーズ&メイキング
第20回 イタリア・ラヴェンナ10月日本祭
https://www.amazon.co.jp/「過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい-写真家-森山大道」Blu-ray-森山大道/dp/B0BSGX2FW1
劇場用映画
「わたのまち、応答セヨ」(2025)
海辺の小さな街を舞台にした岩間の監督第二作。
「斜陽化する地方都市の繊維産業」に、『映画撮影』という手段で肉薄し、漂流し、落胆し、迷走し、そこに何とか希望を見出そうと試みる悪戦苦闘の物語。
これは「映画」についての映画でもある。本作は、「進め!電波少年」で知られるテレビ界の名物プロデューサー・土屋敏男のもとに、愛知県蒲郡市の行政から「我が町の繊維産業に光を」というドキュメンタリー映画企画が持ち込まれるところから始まった。しかし、「ありがちな産業プロモーション映画」にする気など毛頭ない土屋は、岩間に声をかけ、「誰も見たことがない本気のモノ作りの映画」を目指す。かくして二人の映画制作の旅は意気揚々と始まるが、その撮影は難航を極めた。街に漂うある種の諦めムードと、撮影に対する繊維業界の警戒感、そして産業そのものが抱える構造的問題などが土屋と岩間の前に悪夢のように立ちはだかる。暗礁に乗りかけた映画は、しかしこの後思いもかけない方向に転がり出す。
そしてプロデューサーと監督の予想を遥かに超える、驚くべき奇跡的結末を迎えることになるのだった。
本作は、新宿シネマカリテで公開されると観客の感想が口コミで広がり、上映期間が延長されるという異例の評価を得た。
「ラストで泣ける」という評判から、名古屋・大阪・京都・豊橋・宇都宮・博多・唐津・秋田・岐阜・山形・鳥取・一宮などのアート系ミニシアターで順次公開・上映されるようになった。
著作家・服飾史家の中野香織は本作を「撮る者と撮られる者の本気が共鳴し、各人が役割を果たしきった暁に出会う時空を超えた継承の証」と評し、医師・作家の鎌田實は「静かな熱狂の中で、人が変わり、街が変わり、キセキが起きる。熱い熱いドキュメンタリーを久々に観た。すごい映画だ!」とコメントした。映画監督の大友啓史は「久しぶりに、胸が震え、心が躍り、勇気を握りしめる映画に出会えた。あと3回は見てこの世界観をかみしめたい」と本作を称えた。
語り部を務めるのは「ケイコ 目を澄ませて」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した岸井ゆきの。哀切に満ちた独特のトーンで、迷路のような物語世界へと観客を誘う。
(第一回Gontents制作作品)
語り - 岸井ゆきの
出演 - 鈴木敏泰 鈴木昭子 石川雅祥 タニクミコ 小田順子 中瀬司 中野房子 松田繁 戸田佐田夫
音楽 - Brianna Tam
- 地場産業活性化プロジェクト委員会 新商品開発プロジェクト
協賛 - 蒲郡市 ひまわりネットワーク 蒲郡信用金庫 ほか
特別協賛 - 三河湾ネットワーク
-
MIKAWA COTTON STRIPES−Resurrecting a 1200-Year History from the “Birthplace of Japanese Cotton Culture”−A partner of London Design Festival September 2024 Exhibition Direction by Kumiko Tani (Re-cycle-Styale)
協力 - 蒲郡市博物館 W TOKYO 東京ガールズコレクション実行委員会 東海日日新聞社(東日新聞)中部経済新聞社 日本テキスタイルデザイン協会 森菊 竹島クラフトセンター 天竹神社 和田糊付工場 金田整経所 丸奈 蒲郡クラシックホテル 蒲郡北部小学校 London Design Festival FUTURE FABRICS CLOTH HOUSE MERCHANT&MILLS Ltd 島崎麻奈美
資料提供 - 蒲郡市博物館 天竹神社 天竹神社綿保存会 W TOKYO 東京ガールズコレクション実行委員会 中野房子 鈴木敏泰 東京ガールズコレクションオフィシャル映像
タイトルデザイン - 布村順一
海外配給 - Free Stone Productions
取材・撮影 - 大原孝治
ポストプロダクション - アクシー 日活調布撮影所
グレーディング - 上野芳弘
ダビング - 小菅学
編集・DCP - 大野努
- Special Thanks to 三河湾ネットワーク
- 堀井敦 曽我謙晋 會場啓悟 杉山武士 岡澤圭吾 古川来未
- 映画「わたのまち、応答セヨ」プロジェクト委員会
委員長 蒲郡市長 鈴木寿明
蒲郡市三河湾ネットワーク株式会社 蒲郡商工会議所 蒲郡市観光協会 蒲郡市シティセールス推進協議会 配給・宣伝 - 鈴木俊輔(鈴正) 遊佐和彦(JAYMEN TOKYO)
企画・プロデューサー - 土屋敏男
監督・撮影・編集 - 岩間玄
映画公式サイト https://watanomachi.com