「特別展『京都』龍安寺石庭4K実寸映像展示」(2013 東京国立博物館)
東京国立博物館で開催された展覧会「特別展『京都』」の冒頭を飾る巨大映像インスタレーション。
幅16メートルの超巨大スクリーンに映し出されるのは、当時まだ普及していなかった業務用高精細4Kカメラ4台で石庭の四季を丹念に記録した実寸大映像(4台のカメラは庭全体の4分の1ずつを記録し、それを東京でシームレスに繋ぎ合わせた)。日本テレビ技術統括部が総力を挙げて撮影した映像素材を、岩間が10分間の没入映像作品にまとめ上げた。
最大のポイントは、鑑賞者が「今まさに龍安寺に佇んでいる気持ち」になるために、一切のアングル編集もカメラ移動も排して、10分間1カットで移り行く四季を表現している点である。
初夏の緑の木々がゆっくりと色づき、秋の訪れとともに赤く染まりだす。雪が舞い始め、石たちに静かに降り積もる。次第に光は溶け出し、春色の桜が咲き、散り、初夏の緑へと再び変化していく。
岩間はその映像に、木々の擦れ合う音、風のざわめき、鳥の囀りなど自然界のサウンドを緻密に積み重ね合わせ、来場者の眼前に「本物の龍安寺石庭」を現出させた。本作は、その年のATP賞(全日本テレビ番組製作社連盟賞)で特別賞を受賞。同賞がテレビ番組以外に賞を与えるのは初めてのことだった。